
Switch 2で注目を集めた”microSD Express”



新しく出た規格だよね



そうそう、サイズはmicroSDと同じだし、
今までのmicroSDと何が違うのか。。。



一緒に深堀りしていこう
ストレージの新時代が始まる
Androidスマホやカメラをはじめ、ドローン、ゲーム機など、いまだに”microSD”の存在感は大きいです。
SDカードよりも小さく、小型デバイスにも搭載できるその便利さは、ガジェットを使うすべての人にとってのスタンダードになりました。
しかし、4K動画の撮影やハイレゾ音源の保存、アプリの高速起動といったニーズが高まる中で、従来のmicroSDでは読み書き速度がボトルネックになる場面も増えてきました。
そんな中登場したのが、
新規格『microSD Express』
SD Expressで採用されたPCIe/NVMe技術をベースに、これまでのmicroSDを遥かに上回る転送速度を備えた“次世代のストレージ”です。
この記事では、microSD Expressとは何か、どれほど速く、どんな機器に活用できるのか、今後の展望までじっくり解説していきます!
microSDカードのこれまでの歴史と限界
microSDカードは2005年、SanDiskやMotorolaによって開発され、当初は「TransFlash」という名称で登場しました。


その小型さと汎用性から、携帯電話やデジタルカメラ、ゲーム機、ドローンなど、幅広いデバイスで採用されるようになりました。
最初期の容量は32MBや64MB程度で、主に写真やちょっとしたアプリの保存に使われていましたが、技術の進化により、2GBの「microSD」、32GBまで対応する「microSDHC」、そして最大2TBまで対応する「microSDXC」へと拡張されてきました。
また、転送速度も「Class 2」や「Class 10」から、「UHS-I」「UHS-II」「UHS-III」、そして「Video Speed Class」など、さまざまなスピード規格が導入され、高解像度動画やゲームデータの読み書きにも対応できるようになってきました。
しかし、いくら高速化が進んだとはいえ、現在のUHS-IやUHS-IIの限界は明らかです。UHS-Iの最大速度は104MB/s、UHS-IIでも312MB/sに留まります。これはフルHDや4K動画の録画には対応できても、8K動画やリアルタイムの4K RAW撮影、ゲームの超高速読み込みには対応しきれないケースも増えてきました。
加えて、カード内部のインターフェースは古い設計の延長線上にあり、データのランダムアクセス性能にも限界があります。スマートフォンやゲーム機の性能がどんどん上がっている今、ストレージがそれに追いついていないというのが現状なのです。
つまり、これまでのmicroSDは「十分すぎる性能」から「限界が見え始めた性能」へと変わりつつあるわけです。この限界を突破する存在として登場したのが、次の章で紹介する「microSD Express」なのです。
microSD Expressとは何か?


microSD Expressは、SDアソシエーションが発表した次世代のmicroSDカード規格です。従来のmicroSDカードと互換性を保ちながら、データ転送速度と機能面で大きな進化を遂げています。最大の特徴は、PC用高速SSDで使われるPCI Express(PCIe)とNVMe(Non-Volatile Memory Express)という最新インターフェースを採用したことにあります。
従来のmicroSDカードは、UHS-Iで最大104MB/s、UHS-IIで最大312MB/sの速度が限界でしたが、microSD Expressは理論上最大985MB/sに達し、スマートフォンや小型カメラでもSSD並みの高速性能を実現します。
カードの端子構造には新たに第3列目のピンが加わり、このピンを通じてPCIe接続が可能になります。これにより、対応機器では大幅な高速化を実現し、非対応機器でも従来通りmicroSDカードとして使用可能な後方互換性を備えています。
また、NVMeプロトコルの採用により、転送速度だけでなく低遅延と省電力性も実現。これにより4K/8K動画の高解像度録画、5G通信やAI端末でのリアルタイム処理など、従来のmicroSDカードでは対応が難しかったニーズに応えることが可能です。
つまり、microSD Expressは単なる記録メディアの枠を超え、モバイル端末向けの高速ストレージソリューションとして、今後の標準規格になる可能性を秘めています!
項目 | 内容 |
---|---|
主な特徴 | PCI Express & NVMe対応、高速・低遅延・省電力 |
最大転送速度 | 最大985MB/s(従来UHS-I:104MB/s、UHS-II:312MB/s) |
インターフェース構造 | 従来のmicroSD端子+第3列目のピンでPCIe接続対応 |
後方互換性 | microSD Express非対応機器でも通常のmicroSDとして使用可能 |
利用メリット | SSD並みの性能をモバイル機器でも実現、4K/8K動画やAI処理にも対応 |
対応プロトコル | NVMe(高効率・省電力・低レイテンシ) |
想定用途 | スマートフォン、アクションカメラ、IoT、AI端末、5G対応デバイスなど |



microSD Expressってこんなに速くなってたの!?



もうSSD顔負けだよね


microSD Expressの特徴と仕様


まずは、従来規格との比較表をご覧ください。
規格名 | 最大転送速度(理論値) | バスインターフェース | 下位互換性 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|
UHS-I | 約104MB/s | SDバス(UHS-I) | SD | 最も普及。安価。速度は控えめ |
UHS-II | 約312MB/s | SDバス(UHS-II、2列ピン) | UHS-I | 高速対応だが高価。対応機器少なめ |
UHS-III | 約624MB/s | SDバス(UHS-III、2列ピン) | UHS-I, UHS-II | 超高速。ただし市場に製品はほぼ出回っていない |
microSD Express | 約985MB/s | PCIe Gen3 x1 + NVMe 1.3 | UHS-I | SSD並みの高速性。新規格。今後の主流候補 |
microSD Expressは、従来のSDバスではなく、PCIe Gen3 x1レーンとNVMe 1.3のコマンドセットを使用し、高速通信を実現しています。この点が従来のmicroSDカードとの大きな違いです。
カードは新たに第3列目のピンを備え、このピンでPCIe信号を伝送。対応機器での使用時に最大性能を発揮します。一方で、非対応のmicroSDスロットに挿入した場合はUHS-Iレベルの速度に制限されます。


消費電力はPCIe/NVMeの仕様によりやや高めとなる傾向があり、大容量の連続転送時には発熱も発生しやすいです。モバイル機器での使用には放熱設計が重要になりますが、省電力化の技術開発も進んでいます。
容量面でも2TB以上の大容量展開が視野に入っており、映像制作や高性能ゲーム機、ドローンなど大容量・高速転送を求めるユーザーにとって有力な選択肢です。
また、製品にはmicroSD Express対応を示す認証ロゴや規格マークが付く予定で、購入時に見分けるポイントとなります。



後方互換性の制約だとか、発熱については課題



とはいえモバイル向けの高速ストレージには打ってつけの規格だね!
どんな人におすすめ?
microSD Expressは、最大985MB/sというSSD並みの高速性能を誇る次世代ストレージ規格です。しかしその性能を最大限に活かせる場面は限られており、すべての人に必要というわけではありません。では、どのような人にmicroSD Expressは特におすすめなのでしょうか?ここでは、想定されるユーザー層を具体的に紹介します。
1. コンテンツクリエイター
4Kや8Kといった超高解像度の映像を撮影・編集する映像クリエイターやYouTuberにとって、データ転送速度は命とも言える存在です。



速さは正義だよね!
microSD Expressの高速転送により、収録した大容量ファイルを短時間でPCやストレージに移動でき、大幅に効率化できます。スピード重視の作業には強い味方となるでしょう。
2. ポータブルゲーミングPCユーザー
Steam DeckやROG Allyなど、microSDカードでストレージを拡張できるポータブルゲーミングPCでは、読み込み速度がゲームプレイに影響を及ぼします。特に最近の大作ゲームは数十GB〜100GB超の容量が必要になることも多く、従来のmicroSDではロード時間が長くなるのが難点でした。
microSD Expressであれば、より快適なゲームプレイを実現可能です!
3. カメラマン・ドローンユーザー
連写性能や高画質RAW写真を重視する
カメラマンや、空撮を行うドローンユーザーにとっても、microSD Expressは非常に魅力的だと思います。大量の高精細データを素早く保存・転送できるため、作業の効率性が向上。
また、撮影後すぐに素材を確認・編集したいというニーズにも応えてくれます。
4. 外出先で高速転送が必要な人
ノートPCやタブレット、スマートフォンを仕事道具として使っているモバイルワーカーやビジネスユーザーにもmicroSD Expressはおすすめです。特に、大容量ファイルをやり取りするシーンが多い場合、microSD Express対応カードリーダーと組み合わせることで、USBメモリ代わりに超高速な外部ストレージとして活用できます。
まとめ:
microSD Expressは、すべての人に必要な規格ではありませんが、「高速性が業務効率に直結する人」にとっては大きな武器になります。
逆に、スマホで写真を撮る程度のライトユーザーには、オーバースペックかもしれません。



自分の用途に応じて必要性を見極めることが重要だね
注意点
microSD Expressは非常に魅力的な新規格ですが、現時点(2025年)での導入にはいくつか注意が必要です。
そもそもですが「対応機器がほぼ存在しない」ということ。現在流通しているスマートフォン、カメラ、ゲーム機のほとんどはmicroSD ExpressのPCIe/NVMeインターフェースに非対応であり、たとえmicroSD Expressカードを使っても速度はUHS-Iレベルに制限されてしまいます。



ぶっちゃけ、Nintendo Switch 2 くらいしか対応してないんじゃないか?
また、価格面でも注意が必要です。次世代規格であることから、発売初期は価格が高騰しやすく、コストパフォーマンスは必ずしも良いとは言えません。対応カードリーダーやデバイスも揃えようとすると、トータルコストが非常に高くなってしまいます。
さらに、発熱と消費電力の課題も見逃せません。PCIe接続による高速通信は連続使用時に発熱しやすく、機器によっては熱によるパフォーマンス低下(サーマルスロットリング)が起こる可能性もあります。
こうした理由から、現時点でmicroSD Expressを無理に導入する必要はありません。むしろ、2〜3年後に対応機器が普及してから導入を検討するのが賢明かもです。今すぐに高速性が必要な場合は、現行のUHS-II対応microSDカードでも十分なパフォーマンスを発揮する場面が多く、安定した選択肢となります。
まとめ
microSD Expressは、「小型で高速」なストレージの未来を象徴する新規格です。最大985MB/sという転送速度は、もはや従来のmicroSDの延長線上というより、ポータブルSSDに近い性能。
USB4やThunderboltといった高速規格に匹敵するパフォーマンスを、わずか数センチのカードに詰め込んだ点が最大の魅力です。
今後、microSD Expressの普及を左右するのは「対応機器の増加」です。規格発表以降、メーカー各社は徐々に対応に動き出しており、2026〜2027年には対応カメラやスマートフォン、ゲーム機などが登場する可能性があります。特に、4K/8K動画撮影やリアルタイム処理が求められる分野では、導入が加速することが予想されます。
加えて、IoTやAIデバイスの発展により、小型かつ高速なストレージのニーズは確実に高まっています。そうした環境下で、microSD Expressは重要な選択肢となり、他の次世代規格と共にストレージ市場の一角を担っていくことが期待されます。



将来的にmicroSD Express が普及したら最高だね



ただ小さいから、管理を気を付けないと紛失が怖いね
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